アップルとユーザーの恋愛
2010/07/21 Wednesday7月16日、アップルはiPhone 4のアンテナ・ゲート問題に関する記者発表を行ないました。
この会見では、なかなか面白い発言が色々聞かれたのですが、それは新製品の機能とかのことじゃなく、ジョブズの想いみたいなことです。
たとえば、彼は「会社や人が成長すると、足を引っ張ろうとする者が現れる。それは人間の性質として仕方がない。グーグルにもそのことが起こっている。グーグルは素晴らしい会社なのに…」なんてことも言ってました。
「我々はデータ駆動型(data driven)でありたい」なんてことも言っています。データ、つまり事実に基づいてものごとを考えたい、と。今回のクレームは、事実に基づいていない単なる言いがかりじゃないか、というわけです。
発表会の最後に、ジョブズはこんなことを言っています。
We love our users.
Customers=顧客ではなく、ユーザーと言っているのがちょっとしたポイントでしょうか。
ユーザーを驚かせ、喜ばせるために本当に努力しているんだ、と言います。献身的です。
When we have problems like this and people are criticizing us, we’ll take it really personally. Maybe we shouldn’t. You know, maybe we should have a wall of PR people, keeping us away from that, but we don’t. We all take it really personally.
「問題が発生して批判されるとき、我々はそれを個人的に受け止めている。広報とかを間においておけばいいのかもしれないけれど、我々はそうはしない」
たまたま就職した会社で上から言われたから製品を作ってるんじゃない、とジョブズは言いたいわけでしょう。自分たちは、魂の生み出す芸術作品として、iPhoneやMacを作っているんだ、と。
しかし、今のアップル・ユーザーにどれだけその気持ちが伝わっているのかなあ。
発表会の結論としては、「ラボの中だけでなく不満を抱えるユーザーの家にまで赴いて調査をした結果、iPhone 4が他のスマートフォンと比べて電波受信能力に欠ける点は見いだせなかった、それが事実である」ということでした。
アップルの検証の結果としては、「問題はない」というのがデータに基づく事実である、と。暗に、クレームを付けているユーザーやメディアは、ちゃんとした調査をしていないじゃないか、と非難しているようでもありました。
しかし、「問題はない」とする一方で、ユーザーにはBumperケースを無料で提供するとしたため、「やっぱり問題を認めてるんじゃないか」という印象を強く与えたものと思います。
これは、アップルにしては珍しいミスです。
「みなさんに少しでも満足していただけるなら」というユーザーに対する愛から生まれたケース配布なのでしょう。けれども、その愛は一方通行に終わっているように思います。なぜなら、もはやアップルのユーザーは、アップルのことを愛しているから製品を買っているわけじゃないからです。
現在では、アップルユーザーのみんながクールなわけではないのです。
ただ単に、流行っているから買ってみた、というだけの人たち、あるいは株価が高い会社の製品はいいんじゃなかろか、みたいな考えの人たちがかなり増えた。
時代は大きく変わったな、と思います。
ちょっと前までは、そう、3、4年前までは、アップル製品を選ぶというのは、その人のセンスが問われていたんですけれどもね。



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